近藤健児教授の著書"The Economics of International Immigration"が
Springerから出版されました。

著書
書名
The Economics of International Immigration

Environment, Unemployment, the Wage Gap, and Economic Welfare

著書名
Kenji Kondoh(近藤健児)

内容紹介

本書は日本のような先進国が現在直面する経済の諸問題を考慮に入れた上での、国際労働移動、とりわけ外国人労働受け入れの及ぼす経済効果を理論的に分析した最初のまとまった書籍である。ここでの分析に採用されているのは、国際経済学ではすでに古典的なものとなっているヘクシャー=オリーン=サミュエルソンの貿易理論モデル、国際要素移動理論の基本であるマクドゥガル・モデル、都市・農村間の労働移動を扱ったハリス=トダロ・モデル、環境経済学の分野では広く知られたコープランド=テイラー・モデル等であり、そこに最新の経済トレンドを盛り込んでいるところに本書の特徴がある。発展段階の異なる国々による財や生産要素の市場統合を含んだ経済統合、合法熟練労働者に交じり共存する外的に区別できるような徴を明示しない非合法単純労働者、汚染排出抑制技術の欠落から生み出される近隣低開発国による越境汚染、国境をまたぎ存在する魚類のような再生可能資源の存在、高齢化と人口減少、若年労働者の高失業率と正社員・非正規社員の経済格差。これら現代の経済社会に特徴的なトピックスが、国際労働移動の視点から本書では考察されている。現実のアジア経済の直面するさまざまな困難をフォローしつつも、本書では外国人労働者の受け入れ政策が、自然環境、再生可能資源、失業率、賃金格差などの面も含め、経済厚生を高めることに貢献できる可能性が示唆されている。