第4回八事セミナー( 古川章好)

報告者 : 古川章好(中京大学経済学部准教授)
日 時 : 7月21日 16:40~17:40
場 所 : 中京大学 名古屋キャンパス・経済学部会議室
タイトル : 都道府県財政と市町村人口集積

概要:

都市には多くの人口が集積している。例えば東京都には1000万人
以上もの人口が集まり、他の都道府県と比較して大きな規模と
なっている。また、市町村レベルでは、政令指定都市には100万
から200万人もの人口が集積している。このような都市への人口
集中が起こる原因として、公共部門の活動が挙げられる。
例えば、政令指定都市の多くは都道府県の行政機能が集中して
いる地域であることから、都道府県財政が人口集積を引き起こす
一因となっていることが想定される。本稿の目的は、都道府県が
存在し、活動することによって都道府県庁所在地への人口集積が
促進されるのかどうか推計することである。つまり、都道府県の
労働需要の増大によって、都道府県庁所在地への人口集中が
起こっているのかどうか考察することを目的とする。
分析の結果、都道府県の財政規模が拡大すると、都道府県庁所在地
への人口集中が促進されることが分かった。先行研究では、理論
モデル分析によって、都道府県の財政活動を通じた労働需要の
増加を通じて都道府県庁所在地へ人口が集まることが示されている。
本稿の分析結果は、理論モデルで成立している関係が実証分析に
おいても成立していることを示している。