10月の経済研究所セミナー

日時:2012年10月5日(金)16:40~18:10
場所:中京大学名古屋キャンパス・経済学部会議室(14号館4階)
講師:Nicola Coniglio氏(Assistant Professor, University of Bari & 中京大学経済学部客員研究員)
論題:"Migration and Climate Variability: what are the links?"

これは本学客員研究員でもあるバーリ大学のニコラ・コニーリョ教授と、ジョヴァンニ・ペシェ氏との共同論文であり、地球規模で生じている気象変化と国際間労働移動の関連性について実証研究した類例を見ない画期的な労作である。1990年から2001年までのデータを用いて、25カ国のOECD諸国に対する、155の発展途上国からの労働移動が、気候変動によるショック(タイプ、規模、方向性や季節変動効果)に起因するものと認められるとする結果が明示的に示されており、このことは先進国にとっても不法就労者の増大に歯止めをかけるために、砂漠化防止など途上国の環境整備を行うことで、間接的に気象条件の悪化を阻止するような政策が求められていることを示唆している。仙台、東京などからも聴講者が駆け付けるなどで、参加者は20名近くに上る盛況なセミナーであった。途上国からの大半の移民労働者が不法入国であることから、データの補足面での限界が指摘されるなど、質疑応答はきわめて活気あるものであった。
経済・近藤

日時:2012年10月25日(金)16:40~18:10
場所:中京大学名古屋キャンパス・経済学部会議室(14号館4階)
講師:野田顕彦 氏 (和歌山大学経済学部経済学科講師)
論題:Dynamic Stock Market Linkages and Market Efficiency: A Non-Bayesian Time-Varying Model Approach

要旨:
和歌山大学経済学部経済学科の野田顕彦氏により、「Dynamic Stock Market Linkages and Market Efficiency: A Non-Bayesian Time-Varying Model Approach」の報告がなされた。野田氏の研究では、時間ごとの変化を可能とするモデルを構築して、日米間で株式市場に与える影響を分析している。当日は幅広い分野から多くの教員が集まり、活発な議論が展開された。報告内容の要旨は次の通り。<非ベイジアンの時変ベクトル自己回帰モデルを構築し,日米の株式市場における国際連関および準強度の市場効率性の時変構造について分析した.具体的には,非ベイジアンの時変一般化インパルス応答関数から導出される長期乗数を(1)市場変動の伝搬,および(2)準強度の市場効率性の尺度として,上記の時変構造について検証した.本稿で示した2つの尺度をもとに検証を行った結果,日米の株式市場における国際連関および準強度の市場効率性の時変性が確認された.また,こうした時変性は市場における歴史的事実と整合的な関係にあることも示された.>

文責:風神佐知子、< >内要旨 野田顕彦