Discussion Paper No.1204

Title:日本の潜在産出高とGDP ギャップについて
―宍戸・丹羽両氏の計測値の評価

Authors:木下宗七

Abstract:

日本経済の潜在成長率とGDP ギャップは、経済の長期と短期の動向を判断する際の重要な指標である。内閣府や日本銀行では政策策定の基礎データの一つとして、定期的に潜在成長率やGDPギャップの推計値を公表している。また、エコノミストの間でも、これらの指標についての計測が試みられ、それに基づく政策提言がなされている。

この論文では、これまで比較的に高い潜在成長力と大きなGDPギャップを発表してきた宍戸氏と丹羽氏の推計結果を取り上げ、どうして内閣府や日本銀行のものと開差が生ずるかを、要素分配率、TFP成長率、潜在要素投入量の3つの側面から検討する。そして、それぞれの想定の違いを調整すれば、水準の開差はほぼ解消されることを明らかにする。