2012年度特別セミナー

日時:12月1日(土)
場所:中京大学名古屋キャンパス 15号館(会議棟)1階大会議室
講師:椿建也氏(中京大学)、中野隆生氏(学習院大学)、北村昌史氏(大阪市立大学)、小野浩氏(熊本学園大学)
※プログラム順
論題:1920~1930年代のヨーロッパにおける都市と住宅―現代居住の源流を探る

2012年度特別セミナー プログラム
2012年度特別セミナー ポスター

講演会要旨
2012年度中京大学経済学部附属特別セミナー「1920~1930年代のヨーロッパにおける都市と住宅―現代居住の源流を探る―」

12月1日(土)午後1時より、名古屋キャンパス15号館大会議室において、今年度の中京大学経済学部附属経済研究所主催の特別セミナーが開催された。両大戦間のヨーロッパは、庶民の住宅をめぐる広範な論議と多様な実践を通じて、現代につながる都市のあり様や住まいの仕組みが形成された時期である。英仏独三国の特徴的な事例と同時代の日本の動向を比較検討することによって、現代都市と住宅の歴史的実態に迫るとともに、「今日」の日本に生きる私たちが何を汲み取るべきか考えてみようという企画であった。所長釜田公良氏の開会の辞に続き、松本裕氏(大阪産業大学)と白川耕一氏(同志社大学)の司会により、まず本内直樹氏(中部大学)から今回のセミナーの趣旨に関わる問題提起があり,次いで椿建也(中京大学)、中野隆生氏(学習院大学)、北村昌史氏(大阪市立大学)から、イギリス公営住宅政策の展開、パリの郊外形成とシュレーヌ田園都市建設、ベルリンのブルーノ・タウトによるモダニズム集合住宅の設計、に関するそれぞれの報告があった。小野浩氏(熊本学園大学)からは日本におけるアパートメント導入の経緯を含むコメントがなされた。

学内外の研究者、また一般の熱心な参加者を得て、後半のディスカッションでは、田園都市概念の各国での受容と変容、第一次世界大戦のもつ住宅政策上の意義、低廉住宅における浴室設備の普及と衛生観念の関係、郊外団地建設とモータリゼーションへの対応、近年の都心回帰と郊外化の今後など、多岐にわたる興味深い論点が提起された。中でも、「現代居住の源流をどうとらえるべきか」との、フロアからの根源的な問いかけに、両大戦間に確立する「一住宅=一家族」という閉鎖的な居住形態を例に挙げ、むしろ克服されるべき遺産ではないかと応じた報告者の一人のコメントが象徴するように、活発かつ刺激的な質疑が交わされた。
(経済学部 椿 建也)