2014年度中京大学経済研究所特別セミナー

2015年2月24日(火)9時30分~18時00分
テーマ: “The New Trend of Globalization, Economic Growth and Regional Economy”
場所: 中京大学名古屋キャンパス・山手ホール

報告者: FRANCESCO PROTA(University of BARI)、GIANFRANCO VIESTI(University of BARI)、NICOLA CONIGLIO(University of BARI)

2014年度特別セミナ プログラム
2014年度特別セミナー ポスター

「Bari-Chukyo Agreement One Day Seminar」
“The New Trend of Globalization, Economic Growth and Regional Economy”

要旨
 今年度経済研究所特別セミナーは2012年度に締結されたイタリア・バーリ大学との研究交流協定の一環として,バーリ大学経済学部からニコラ・コニーリョ,フランチェスコ・プロタ,ジャンフランコ・ヴィエスティの3名のスタッフを招聘して,”The New Trend of Globalization, Economic Growth and Regional Economy”のタイトルのもと,1日ワークショップの形で行われた。
 コニーリョ氏の論文”Environmental Shocks, Migration and Urbanization in Developing Countries”は,途上国に大規模な洪水などを引き起こす環境変化が,生活条件や経済活動の機会変化を通じて,労働者が流出するという仮説の妥当性を実証分析するもので,ほとんど先行研究のない斬新な視点で国際労働移動問題が扱われていた。
プロタ氏の論文”International Agreements, Backward Linkages and Technological Transfers in Sub-Saharan Africa”は,サハラ以南のアフリカ諸国のデータを用いて,二国間投資協定(BIT)が技術移転や長期的な途上国企業へのサポートなどの後方連関効果に与えるインパクトを実証研究したものである。先進国からの投資にはこうした波及効果があることは事実だが,二国間投資協定そのものが技術の向上に関わる経済関係の確立に貢献しているとは言えないという興味深い結果が示された。
ヴィエスティ氏の論文”Why Europe in in a Trap”は,失業率の急増,自己防衛的な財政緊縮策,EU諸国間における経常収支の不均衡や経済成長率格差の拡大が,もはやEUに期待できないとする世論の拡大を,南欧諸国のみならずドイツでももたらしていることを豊富なデータをもとに示す,大変興味深い研究であった。
セミナーは終日開催され,本学経済研究所からも近藤健児,古川雄一,都丸善央の3名のスタッフが研究報告を行った。仙台・東京や関西からも参加者を集め,活発で建設的な議論が休憩中も終了後も尽きることなく重ねられるなど,きわめて盛況であった。
(2月24日,中京大学名古屋キャンパス ヤマテホール)
(経済学部教授 近藤健児)