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The 75th Annual Meeting of the Japan Society of International Economics (JSIE)

大会論題

共通論題「新たな秩序を模索する世界経済:今後の展望と課題」

2015年、我が国においては日経平均株価が4月にITバブル以来15年ぶりに2万円台を回復したものの、8月には世界同時株安のあおりを受け、9月には1万7千円を割り込みました。世界同時株安の発端は、中国経済の減速に対する懸念があり、爆発的な成長を続けてきた中国経済の先行きには目が離せなくなっています。
その中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定の署名式が6月に行われ、50カ国が設立メンバーとして参加することになりました。参加国にはアジア各国のみならず西欧諸国も名を連ねています。欧州の国々は、中国主導というリスクはあるものの、それ以上にAIIB参加の利益は大きいと判断したと考えられます。
日米両国はAIIBには参加を見送りましたが、その両国を含む12カ国の間で環太平洋経済連携協定(TPP)が10月に大筋合意に至り、5年以上に及ぶ交渉が実を結びました。日本政府の試算によれば、TPP発効はGDPを約14兆円押し上げ、80万人の新規雇用を生むという経済効果をもたらすとされています。
TPPの大筋合意を受け、オバマ大統領は「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない。我々がルールを書き、米国製品の新たな市場を開くべきだ」との声明を出しました。言うまでもなく、TPPは米国主導でアジア太平洋地域の繁栄と平和を実現する原動力となる経済ルールの形成を目指しています。ただし、アメリカ大統領選挙の結果次第では米国がどこまでTPPにコミットすることになるか、先行きは不透明であるのも事実です。
AIIBとTPP、それぞれ中国と米国が主導国である2つの多国間経済協調の枠組み形成は、我々に世界経済の秩序・ルールがいかにあるべきかを問う象徴的な出来事であるといえます。第75回全国大会では共通論題として、このような今後の世界経済のルール形成のあり方とその行方について、議論の場を設けたいと考えました。
振り返ってみると、戦後の世界経済は大きな変動を経験してきました。特に20世紀の終わりに起きたIT革命は、社会に大きな変革をもたらすと共に様々な分野におけるグローバル化を一気に加速させる結果となりました。IT技術の進展は、より質の高い経済取引を支える環境の整備をもたらしました。しかしその一方で、世界の政治経済情勢はますます混迷を極め、国連ミレニアム宣言に掲げられた平和と安全、貧困撲滅、環境保護、良い統治などの達成による真に豊かな社会の形成からは程遠い現状です。経済取引においても、先進国においてさえ時には質の低い競争が行われてしまうことは、東芝の不適切会計問題やフォルクスワーゲンの排気ガス基準値偽装問題などの事例が示すとおりです。IT技術の進展をもってしても質の高い経済取引が達成され得ない原因がどこにあるかは議論の余地がありますが、一つの大きな要因として経済取引における適正なルールの未整備と不順守が考えられます。
今後の世界経済の秩序・ルールの形成において、主導権を握るのは誰か。米国か、中国か、あるいはそれ以外の第三極となる国なのか。また、それは世界経済の更なる発展を達成しうるものとなるのか。こうした観点から、共通論題では世界経済の今後を担うルールのあり方について徹底的に議論したいと考えます。プログラム委員会としては,以下のような問題領域を想定しています。
1.アジア太平洋地域の新たな通商秩序
2.アジアのインフラ整備と開発金融
3.世界金融危機と金融規制改革
4.WTOドーハ・ラウンド交渉の展望
5.新興国経済の発展と安定化
6.その他
会員の皆さまの積極的な参加とご発言を期待しております。

自由論題

全国大会の「自由論題」につきましては、例年通り自由なテーマで報告希望の申し込みを受け付け、それらを幾つかのセッションに分けて構成する方法をとります。プログラム委員会では、予め以下の「セッション」を想定しておりますので、自由論題の報告希望者は、該当セッションをこちらのページから明記してお申込み下さい。
1.貿易理論
2.貿易実証
3.国際金融・国際マクロ
4.開発経済
5.直接投資・多国籍企業
6.欧米経済
7.アジア経済
8.その他各国・地域経済
9.国際通商体制・WTO
10.地域経済統合・FTA
11.環境・資源エネルギー
12.国際政治経済学
13.その他

特別セッションについて

第70回全国大会(2011年)より、「ポスター・セッション」が設けられました。報告者との密なるコミュニケーションが可能という点で、オーディエンスにとっても大変有意義な報告形式であり、本大会でも引き続き実施いたします。本セッションでの発表を希望される会員は、後述の「ポスター・セッション報告の概要」を参照のうえ、その旨を「報告申込書」を用いてお申し込み下さい。また、第74回大会から、ポスター・セッションの報告者全員に対し、各自1分間の「フラッシュ・トーク」の機会を設けることにしました。フラッシュ・トークとは、大会1日目のポスター報告に先立ち、各報告者がスライド1枚を映写しながら、報告の主張やセールスポイントを簡潔に口頭説明するセッションです。フラッシュ・トークについては、このサイトにあるの「フラッシュ・トークの概要」に示す要領に従い、ご準備ください。

「英語セッション」は、本大会では特別に設けませんが、英語による報告も可能ですので、英語による報告を希望される場合は、自由論題の各セッション内でお願いします。なお、報告申込時に報告言語を選択してください。

インフォメーション

日本国際経済学会第75回全国大会
中京大学名古屋キャンパス
2016年10月29日(土) 30日(日)

お問い合わせ

日本国際経済学会第75回全国大会

E-mail:jsie75th@gmail.com

住所:
〒466-8666 名古屋市昭和区
八事本町101-2
中京大学経済学部 近藤健児研究室
日本国際経済学会
第75回全国大会準備委員会宛

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